ウニさんがメルボルンからケアンズまでの3500kmの旅に出てからもうすぐ2ヵ月。
多くの人は彼のことを「クレイジーだ」と呼ぶかもしれませんが、23歳の彼にとってこのような旅は初めてではありません。
来豪する約1年前、ウニさんはキックボードで日本一周を達成しています。
日本一周の理由は、今回と同じ「自分を変えるため」。しかし目標達成後、さらなるチャレンジに挑みたいと、訪れたことがないオーストラリアを次の舞台に選びました。

Uni in Newcastle on 4 March 2023 Source: SBS
旅の苦労をはるかに上回る新たな出会いや温かい歓迎
オーストラリアの高速道路をキックボードで走る危険性を知らなかったウニさんは当初、通りすがりのドライバーからクラクションを浴びせられたり、親切に止まってくれ、「送ってあげるよ」とオファーしてくれたドライバーから100ドルを要求されたり、はじめは挫けそうになることも多々あったと言います。
辺りに店がないなか、水が底をつきたり、豪雨や洪水で足止めを食らったこともあります。
また安全のため、あえて裏道で旅を続ける中、キックボードにはふさわしくない道が続き、キックボードを含めた荷物約25kgを抱えて、砂浜や崖を歩くこともありました。
READ MORE

ウニさん、ニューサウスウエルズ海岸の旅続く
しかし、あきらめようと思ったことは一度もないと言います。
「自分を変える旅ですから、もし失敗したら、それは自分を変えることができなかったという証拠になってしまいます」
そして、新たな出会いや温かい歓迎は、苦労をはるかに上回るものだと言います。
来豪当初、この旅に「民泊」というものがあるとは想像もしていなかったと言うウニさんですが、彼のミッションを聞きつけた見知らぬ人たちが家を開けてくれたり、友人の連絡先を教えてくれたり、旅の途中の安住の地を確保してくれるようになりました。
最近ではニューサウスウェールズ州のミッドノースコーストにある、ナンブッカ・ヘッズで、来豪初のバイトを日本食レストランで経験。
旅の資金を稼ぎながら、つかの間の快適なベッドと日本食を楽しみました。
旅で一番恋しかったのは、「味噌汁」であったと言うウニさん。
過酷な旅で履くサンダルと独特な服装に込められた思い
運良く民泊できることもあれば、小さなテントで野宿し、限られた水をのみ、唯一の食料であるパンを食べて生活することもあります。
「底をつきそうな水を罪悪感いっぱいに飲むこともありました」
「パンは持ち運ぶには一番軽い食べ物ですから。でも口が寂しくなったときはピーナッツバターを塗っています」
しかし、所持金ゼロ円で挑んだ日本一周と比べると、ケアンズまでの旅はそこまで過酷ではないというウニさん。
だからこそ、自分をさらに追い込むために、あえて靴ではなく、サンダルで旅に挑んでいます。
ウニさんの独特な着物は、日本一周をした際に、京都で出会ったおじいさんからのいただきもの。
彼の旅を心から応援し、オーストラリアへの挑戦も喜んでくれていたおじいさんは、残念ながら去年の9月にお亡くなりになりました。
「彼をオーストラリアに連れていってあげたい、旅の一部にしてあげたい」
ウニさんはこの着物に合うように、笠や、インナーやアウターを選んで来たといいます。
進展するウニさんの旅
シャイな性格を克服し、自らを変えるために旅に繰り出したウニさん。
多くの貴重な出会いは彼の価値観に影響を与え、旅の目的も少しずつ進展しています。
メルボルンからスタートを切った当初から、ゴールであるケアンズに辿りついたら、自分が歩んできた道を今度は車でラウンドするという計画がありました。
日本一周を終えた際も、自分が辿った道を車で行き、ラウンド中にお世話になった人々に改めて感謝の気持ちを伝えてきました。
現在グラフトンにいるウニさん。
英語がままならなく、自分の感謝の気持ちをしっかりと伝えることができなっかことにもどかしさを感じてきたウニさんは、ケアンズにたどり着くまで英語を上達させ、次車でラウンドするさいは、しっかりコミュニケーションが取れるようになりたいと話します。
さらにはオーストラリアの地でよく耳にするようになった「チャリティー」という言葉をきっかけに、難民のためのファンドレイジングも始めました。
シャイでまったく英語が話せなかったウニさんは今、旅の途中でトークショーを行い、資金集めを始めています。
SBS日本語放送ではウニさんの旅をこれからも追い続けていきます。お楽しみに!

With a motorcyclist Source: Supplied / Uni
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!
から過去のストーリーを聴くこともできます。