オーストラリア滞在中にビザが失効したら?その影響とは?

ビザの有効期限が切れているにもかかわらずオーストラリアに滞在した場合、不法滞在者とみなされ、オーストラリアから強制送還される可能性があります。場合によっては、オーストラリア・ビザの再発行が3年間禁止されることも。

passport coastal view Australia

Source: Getty Images/Rhisang Alfarid

イタリア人大工のジャコモ(仮名)さん(25歳)は、2018年にワーキングホリデービザで来豪。その後学生ビザを経て、スポンサーを見つけると、テンポラリー・スキルショーテージ・ビザ(482)を取得しました。


キーポイント

  • オーストラリアに滞在する非市民は、有効なビザを保持している必要がある
  • ビザが失効している人は不法滞在者とみなされ、拘束または強制送還となる可能性も
  • 28日以上ビザを延滞した場合、3年間ビザの再発行ができない可能性も

ジャコモさんはビザ482を申請し、ブリッジングビザAを取得しましたが、そこから想定外の事態に見舞われてしまいました。
2019年11月にスポンサーシップビザを申請し、ブリッジングビザを取得したのですが、コロナの影響で職を失い、スポンサーシップも同時に失いました。
ジャコモさんはCOVID-19のパンデミックにより仕事を失い、雇用主もビザのスポンサーを辞退したのです。

内務省は、ジャコモさんに対し、35日以内に482ビザの申請を取り下げて別のビザを申請するか、国外に出るよう通知しました。
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*Giacomo worked as a carpenter in Sydney. Source: Anna Shvets/Pexels
ジャコモさんはその後、ビザエージェントの助けを借りて観光ビザを申請しましたが、最後に所持していた実質的なビザである学生ビザの期限から28日以上経過していたことを理由に却下されました。彼はこの決定を不服としました。

不法滞在

ビザエージェント、「マイグレーション・ワールド」のエマニュエラ・カニーニさんは、オーストラリアにいるほとんどの人は、ジャコモさんのようにビザを取得し、合法的に滞在していると言います。

しかし、時には、次のビザを申請する前にビザが切れてしまい、ビザを所持していない人もいるようです。
通常、ビザが切れてしまう人の多くは、主に観光ビザや学生ビザ保持者です
カニーニさんによると、うっかり申請を忘れている場合もあれば、故意であることも。

「私の経験では、ワーキング・ホリデー・ビザの人が、セカンド・ワーキング・ホリデー・ビザの開始時期を理解しておらず、ビザの終了日を逃してしまうこともあります」
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Source: James Russell/Pixabay
カニーニさんによると、ビザが切れてから28日以内にオーストラリアを出国しなければならないという誤った解釈をしている人もいるそうです。
それは間違いです。ビザの期限が切れれば、失効します。
また、ビザが切れた時点で、まだオーストラリアに滞在している場合は、不法滞在者とみなされ、拘束あるいは強制送還される可能性があります。

期限切れのビザでオーストラリアを出国

「コマンディーニ・マイグレーション・サービス」のビザエージェントで、弁護士のアレッサ・コマンディーニさんによると、ビザの期限が切れていることに気付いた場合、内務省にブリッジング・ビザEを申請することで、出国を手配することができます。
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Source: Victor Freitas/Pexels
「このブリッジングビザEを取得すれば、合法的に出国するための時間が与えられ、空港で拘束されるなどの不便を回避することができます」

28日以内のオーバーステイであれば、より多くの選択肢があり、パートナービザや学生ビザ、COVID-19パンデミックイベントビザの申請が可能な場合もあると、コマンディーニさんは言います。

3年間の除外期間

しかし、不法なビザの状態を解決しないまま28日以上のオーバーステイをした場合、その選択肢は非常に限られてきます。

場合によっては、3年間の入国禁止期間が設けられ、その間は他のビザを取得することができないと、コマンディーニさんは説明します
オーストラリアに28日以上不法に滞在した場合、今後オーストラリアのビザを申請する際には、除外期間が設けられます
「これは、最低3年間、オーストラリアへの渡航や滞在のためのビザを取得することができないことを意味し、この期間は、たとえ自発的にオーストラリアを離れた場合でも適用されます」

3年間除外期間は、オーストラリアを出国した日から始まります。

これは、28日以内にビザの状況を解決しなかった人に適用され、不法な非市民として出国した者、またはブリッジングビザC、D、Eを保持したままオーストラリアを出国した場合に適用されます。

そのため、ビザの有効期限を確認した上で、28日の期間を計算することが重要となります。
Passport visa
Passport visa Source: Getty Images/belterz
では、オーストラリアで不法滞在者となることを避けるにはどうすればよいのでしょうか。

一番大切なことは、ビザが発行された際に、その有効期限に注意すること、とカニーニさんは言います。

ビザの有効期限は、ビザのグラントレターに記載されているほか、内務省のVEVOポータルで、パスポートとビザの情報を入力して確認することもできます。 

母国で迫害の恐れがある場合は、ビザの有効期限が切れていても、オーストラリアで保護ビザを申請することができます。

法的代理人を立てる余裕がない方は、以下から支援を受けられる場合があります。

ニューサウスウェールズ州

Refugee Advice and Casework Service (RACS) (02) 8355 7227

Immigration Advice and Rights Centre (IARC) (02) 8234 0700

Legal Aid NSW (02) 9219 5790

ビクトリア州

Refugee Legal (03) 9413 0100

Asylum Seeker Resource Centre (ASRC) (03) 9326 6066

Victoria Legal Aid (VLA) 1300 792 387

クイーンズランド州

Refugee And Immigration Legal Service (RAILS) (07) 3846 930

西オーストラリア州

Circle Green Community Legal (08) 6148 3636

 

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Published 25 March 2021 2:40pm
By Chiara Pazzano
Presented by Yumi Oba


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