オーストラリアの英語辞典「マッコーリー辞典」が選ぶ「今年の言葉」が発表されました。
今年の「ピープルズ・チョイス」に選ばれたのは「Karen」と「COVIDIOT」の2つ。通常は1つの言葉が選出されますが、2つの言葉が選ばれたのは、この異常な1年を表すものだ、と出版社は述べています。
マッコーリー辞典によると、2020年度の「ピープルズ・チョイス・ワード・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた「Karen」とは、中流階級の権利ある白人女性で、人を見下し、人種差別的な態度をもつ、主にX世代の女性を指すと説明しています。
一方で、「COVIDIOT」は、来年にはそのカテゴリーがなくなことが望まれる「ピープルズ・チョイス・Covidワード・オブ・ザ・イヤー」に選出されました
「Karen」または「Bunnings Karen」とも言われる言葉は、ロックダウン中の複数のオーストラリア人女性を描写するために使用され、このうちの1人は、COVID-19の検問所で停車せずに笑う姿を自撮りしたことによって逮捕されています。この他にも「Karen」と呼ばれる女性たちが、「自分たちの人権が侵害されている」といった内容を投稿したり、ハードウェアショップ・バニングズで、マスク着用を呼びかける従業員を非難する姿を撮影するなどしていました。

Karen was chosen as Macquarie Dictionary's People's Choice for Word of the Year. Source: Macquarie Dictionary
マッコーリー辞典よると、「Karen」は、ピープルズ・チョイスの投票で優勝したほか、委員会から「栄誉ある賞」を与えられるなど、強力な候補であったそうです。
「口語的で論争的。この特定のタイプの女性をきちんと捉えた言葉で、その人気は、ソーシャルメディアで拡散された動画とともにっ急増していきました」と出版社は述べています。
「興味深いのは、ピープルズ・チョイスに投票したKarenという名前の人々のうち、その半数が『Karen』の選出について納得しているということです」
一方で、「COVIDIOT」は「COVID-19」と「IDIOT」をかけ合わせた造語で、社会的距離を置かない人や、大きな集会に参加する人、主食品やトイレットペーパーの爆買をする人など、Covid-19の感染拡大を食い止めることを目的とした健康アドバイスを拒否する人を指しています。
マッコーリー辞書は、「この用語はオーストラリア人に、特にビクトリア州の第二波の際に幅広く受け入れられたもう一つの口語表現です」と説明しました。

COVIDIOT is Macquarie Dictionary's People's Choice for COVID Word of the Year. Source: Macquarie Dictionary
2020年度の大規模なトイレットペーパー騒動のピーク時には、当時貴重であったトイレットペーパーを巡り、スーパーマーケットで争った女性2人が告発されています。
「Karen」同様に、「COVIDIOT」もまた、委員会によって名誉ある称号を与えられました。
委員会のあるメンバーは「テレビを通じて、COVIDIOTの終わりがこないと感じました。同じく『maskhole』の存在もです」
※マスクホール:マスクの着用を拒否するいわゆるアンチマスカー
マッコーリー辞典の「ワード・オブ・ザ・イヤー」の候補には、中国政府の政策や他国の行動に対する批判を意味する「panda bashing」も挙げられました。これは、今年の初めに、オーストラリアがコロナウイルスの起源について国際的な調査を求めたことで、中国とオーストラリアの間に緊張が生まれたことが背景にあります。

Source: Macquarie Dictionary
一方、Covidワード・オブ・ザ・イヤーには「social distancing」、「iso」、「elbow bump」、「maskhole」、「WFH」、「rona」などがショートリストにランクインしました。
マッコーリー辞書のワード・オブ・ザ・イヤー委員会は、11月、「ニュースが主に否定的で、しばしば動揺するという事実にもかかわらず、オンラインやソーシャルメディア上のニュースフィードを読み続ける習慣 」を定義する「Doomscrolling」がワード・オブ・ザ・イヤーのトップチョイスに選ばれたと発表していました。
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