オーストラリア全土が注目を集める、国内でもっとも古く、権威のある肖像画のコンクール、アーチボルド賞。今年は過去最多となる1068作品の応募の中から、55人がその最終選考に当たるファイナリストに選ばれました。そしてこの55人の中に、日本人アーティストが2名も選ばれたのです。
NSW州立美術館によると、コンクールの長き歴史に加え、これまでアーティストのヘリテージを記録してこなかったため、100%とは言えませんが、日本人がファイナリストになるのは初めての快挙のようです。
前回ご紹介したタトゥーアーティストの本庄義男さんに続き、今回はオーストラリアを拠点に活動されるアーティストの新明百合さんに話を伺いました。
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日本人タトゥーアーティスト、アーチボルド賞ファイナリスト
ハイライト
- アーチボルド賞で、日本人アーティスト、本庄義男さんと新明百合さんが、ファイナリストに選考
- 新明さんの作品タイトルは描く前から決まっていたそうです
- 別のコンクールでは落選していた作品がこの度脚光を浴びることに
オーストラリア在住42年の新明さんは、15年前にもアーチボルド賞に応募したそうですが、残念ながら落選。今回は自分が納得いける自画像が、よいタイミングで完成したため、応募を決意したといいます。
「Carnation, lily, Yuri,rose」という可愛らしい作品名は、絵を描く前から決まっていたと言います。アメリカ人画家であるジョン・シンガー・サージェントの「Carnation, lily, lily, rose (1885–86)」にインスパイアされ、いつかは自分の名前である「Yuri」を「lily」と入れ替え、自画像を描きたいと長年思い描いていた新明さん。
Archibald Prize 2020 finalist Yuri Shimmyo Carnation, lily, Yuri, rose oil on canvas, 27.5 x 23 cm © the artist Source: AGNSW, Mim Stirling
実はこの作品、アーチボルドとは別のコンクール2件にも応募されたそうですが、いずれも落選。しかし、オーストラリア全土が注目する権威あるコンクールでこの度、脚光を浴びることとなったのです。
「アーチボルド賞は、有名な俳優や著名人がモデルだったり、サイズが大きくてインパクトがある作品が選ばれるので、本当に驚きました」
ちなみに新明さんの作品のサイズは フレームを含めると27.5 x 23 cm。今回優勝したアボリジニ・アーティスト、ビンセント・ナマティラさんの作品、152 x 198 cmと比べると、とても小さいことが分かります。長年オーストラリアを拠点に活動している新明さん。自分では意識して描いてるわけではないけど、他の人から「日本人らしい視点だね」とよく言われるそうです。今回、その「日本人らしさ」が選考のきっかけになったのかもしれません。詳しくはポッドキャストをお聞きください。
Yuri could not believe it until she saw her own work at the Art Gallery of NSW Source: Yuri Shimmyo
LISTEN TO
Japanese Finalist in the 2020 Archibald Prize, Yuri Shimmyo
SBS Japanese
04/11/202010:27
1月10日以降は、下記での展示が予定されています。
1月22日~ 3月7日 – 3月19日~ 5月2日 – 5月14日~6月27日– 7月9日~8月22日 – 9月3日~10月17日– 10月29日~12月5日 –