マルディグラの始まりは同性愛が違法であった1978年に遡り、同性愛者の自由と権利を求めて行われたデモ行進がきっかけでした。それから44年、一度も休むことなく行われてきたのが、フェスティバルのメインイベントである、マルディグラ・パレードです。
今年は3月5日に開催され、COVIDセーフにイベントを行うため、昨年に続き、従来のオックスフォード・ストリートから、シドニー・クリケット・グラウンドを舞台に、チケット制のイベントとして開催されます。このパレードに参加する日本人グループ、「ジェンダー・フリー・ジャパニーズ」の代表であるアヤカさんとコーキさんは、ストレート女性とトランズジェンダー男性の「レインボー夫妻」。2年前に来豪した際、初めて目にしたマルディグラに衝撃を受け、このほど参加を決断したと言います。
Organizers of the Japanese float, (top from left) Ayaka, Kouki, Yuji, (bottom left) Masaru Source: Kouki Yamada
日本では自身がトランズジェンダーであることを隠し続けていたコーキさん。
僕と違ってすごくキラキラ輝いていて、当事者・非当事者関係なく、みんなで盛り上がっていて、そこにすごく衝撃を受けました
多くの企業や団体が一丸となってLGBTQI+のイベントを作り上げていることに「心から感動した」と付け加えるアヤカさん。
オーストラリアで、初めてカミングアウトができたというコーキさんは、LGBTQI+への理解があるオーストラリアの社会と、周りのサポートがあって「今の僕に変わることができた」と話します。
コーキさんのジャーニーをそばで見守ってきたアヤカさん。
日本では、職場も含め「ばれないように頑張っていた彼が生きづらそうに見えた」一方で、現在は、「彼自身が輝いて見えるし、苦しそうにしてなくて、堂々としているのが嬉しい」と話します。
ふたりは、同性婚が認められていない日本の現状を世界に発信し、日本で同性婚が認められてほしいという思いを掲げて、今回パレードに参加します。
一方で4年前にワーホリとして来豪し、現在はパートナーシップビザを取得したユージさんは、パレードの参加は今回で2回目となります。2019年にキャンベラのグループの一員として参加したユージさんは、「ただただすごく楽しくて、それは出た人にしかわからない特別な感覚」と、「もう一度味わいたい」という強い思い、そして日本で同性婚が認められていない中、「国外にいる僕ができることを、少しでもしたい」と参加への思いを語りました。
Yuji(right) will be participating in the Mardi Gras parade for the second time this year Source: Yuji Nakagawa
人によって考え方は色々あるので、何が正しいとか良くないとか、そういうことではないと思うんです。知らなくてもいいことは、人にはあると思いますし、絶対カミングアウトしないといけないとか、隠し続けないといけないということもないと思うんです
オーストラリアでは「普段の会話の中で『ゲイ』と自然に言える」、「すんなり受け入れてくれる」と、オープンな環境に居心地の良さを感じています。
マサルさんは当事者ではありませんが、同性婚について調べていくうちに、「少しでも日本の社会がよくなってほしい」という強い思いから参加を決断されました。
Masaru is participating in the parade with hopes of Japan to become an inclusive society, especially for the future generation Source: Masaru Ito
自分の子供が将来的に日本に帰ることになったとき、住みやすい社会であってほしいと強く思っています
子供が通う小学校からは、「差別はよくない」といった書面がしっかり親の手元に届くなど、オーストラリアでは幼い頃から差別をなくし、インクルーシブな社会作りに向けた教育がされていると語ります。
「同性婚が認められ、オーストラリアと同じような良い社会に、日本も近い将来なってほしいです」
未だ認められない同性婚
日本では2015年より、各自治体で同性パートナシップ制度が施行されていますが、G7では日本が唯一、国全体として同性婚、並びにパートナーシップ制度を導入していません。
同性パートナシップ制度とは、同性カップルの関係を公的に認めるものですが、法的な効力はなく、子供の共同親権をはじめ、配偶者特別控除、健康保険の被扶養者手続きなどの対象にならず、男女夫婦と同等の対応を受けることができません。
これについてアヤカさんとユージさんは、日本の「少子高齢化」が背景にあると述べています。
「同性婚を認めてしまうと、子供を産めない世代が増える」といったことを耳にするというアヤカさん。
「結婚したいという気持ちは同性だろうと異性だろうと変わらない、だから少子高齢化が着目されると個人的に思います」とユージさん。
によると、今から40年後には20歳から64歳の人口が大幅に減少する一方で、65歳以上の人口はほぼ横ばいで推移することが見込まれています。ジェンダー・フリー・ジャパニーズはこのほど、同性婚が認められていない日本の現状を訴える大きな旗をセンターに、誰でも踊れるダンスとともに、パレードを行進します。
”Gender Free Japanese"preparing for the 2022 Mardi Gars Parade Source: Kouki Yamada
「当事者・非当事者なんてまったく関係なくて、いろんな人達に楽しそうだなとか、ジェンダー・フリーって何?LGBTQI+って周りにいないけど、もっと知ってみたいなど、いろんな人にに参加してほしいと思っています。興味のある方は一緒にパレードを盛り上げましょう!」
シドニー・ゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラは2月18日から3月6日まで、シドニー各地でイベントを開催し、パレードは3月5日、シドニー・クリケット・グラウンドを舞台に開催されます。詳しいプログラムはのオフィシャル・プログラムをご確認ください。
4人の音声インタビューは下記からどうぞ
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同性婚への思いを掲げて参加 マルディグラ・パレード2022
SBS Japanese
15/02/202214:11
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