子どもが急病やケガをしたら?救急外来に行く前に知っておきたいこと

Children's Medical Appointment

Triage is the initial point of care in a hospital's emergency department. It is a system designed to prioritise patients based on the severity of their condition.  Credit: FatCamera/Getty Images

子どもが病気やケガをしたとき、救急外来を受診するのは、その待ち時間やストレスから、保護者にとって大きな負担となるかもしれません。しかし、流れをあらかじめ知っておくことで、気持ちに余裕が生まれます。


Key Points
  • 一刻を争う場合は000に電話して、救急車を呼んでください。
  • 救急外来では、緊急度に応じた優先順位を決める「トリアージ」があります。
  • 診察が終わって帰宅する際には、お子さんがどんな状態だったのか、医師がどう診断したのかをしっかり確認しておきましょう。
エマージェンシー・デパートメント(救急外来)にはどんなときに行くべきでしょうか?

一方で、や、 (またはプライオリティ・ケア・クリニック)の方が適切なのは、どういった状況なのでしょうか?

シドニー在住の母親、ベサニー・ガーリングさんは、娘に異変を感じ、迷わず小児救急外来へ向かいました。

「高熱が4日ほど続いていました。すでに医師の診察を受け、抗生物質も飲んでいましたが、まったく回復の兆しがなかったんです。」

さらに娘は水分もとらず、胸が苦しそうで、あばら骨がへこむほど呼吸がつらそうな様子だったといいます。そのため迷うことなく、最寄りの小児救急外来へ向かいました。
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Paediatric Emergency Doctor Matthew O'Meara

救急外来を訪れるべきタイミングとは?

「保護者は『直感』を信じてください。」

そう話すのは、の小児救急医、マシュー・オメアラ医師です。

「その直感にはいろいろな要素があると思います。たとえば、普段より元気がない、遊ばなくなった、反応が鈍い、呼吸が苦しそう、肌の色が青白い、またはまだら模様になっている、青みがかっているなど。こうした様子が見られたら注意が必要です。」

また「水分をあまり取らない」、「尿の回数が極端に少ない」などといった変化がある場合、あるいは「何かおかしい」と感じることがあれば、迷わず対応するよう呼びかけています。

不安な場合は、まずトリプルゼロ(000)に電話して救急車を呼ぶなど、すぐに対応してもらえる医療サービスを利用することが大切です。

「一刻を争う場合は、トリプルゼロ(000)に電話して救急車を呼んでください。呼吸が苦しそうであったり、顔色が非常に悪かったり、あるいは呼吸が止まっているように見えるとき、さらに意識がない、けいれんを起こしている場合は、迷わず救急車を呼んでください。」

一方、救急外来は、すぐに命に関わる状況ではないものの、緊急な対応が必要な場合に適した場所です。

例えば、呼吸に多少の苦しさが見られたり、顔色が少し悪い。普段より水を飲む量が少なかったり、活動量が少ない場合などです。

もし、「何かおかしい」と感じるも、緊急性を感じない場合は、GPやアージェントケアセンターを訪れるのが適切です。
Doctor and paramedics helping child
If you are worried about your child and need help immediately call Triple Zero for an ambulance. Credit: kali9/Getty Images

救急外来での流れ

では、実際に救急外来を訪れると、どのような流れで進んでいくのでしょうか?

最初に「トライアージ」と呼ばれる処置が行われます。これは、患者の状態の重症度に基づいて優先順位をつけるシステムです。

パメラ・ボールドさんは、の救急外来でナースユニットマネージャーを務めており、トライアージも担当しています。

トライアージを担当するのは看護師です。

患者の状態を素早くに見極め、診察の緊急度に基づいて対応を決めると、ボールドさんは説明します。

「緊急度に基づいてトライアージカテゴリーが付けられます。最も重篤な患者が最優先で診察され、その後、緊急度が低い患者に順番が回ってきます。」

支払いは?

オーストラリアでは、メディケアカードがあれば、公立病院の救急外来を無料で利用できます。

一方、私立病院の救急外来を利用する場合は、診察料が発生します。

また、多くの州では救急車の利用に費用がかかり、その額は地域によって異なります。ただし、コンセッションカードを持っている人や民間の健康保険に加入している人など、一部の人は費用が免除される場合もあります。
Child having stomach ache
Your child's health details can include allergies, medications, and pre-existing conditions.   Credit: ozgurcankaya/Getty Images

保護者へのアドバイスと受診後のケアについて

救急外来に向かう前に、あらかじめ基本的な情報を手元にそろえておくと安心です。

ウエストミード・チルドレンズ・ホスピタルの救急外来看護師、パメラ・ボールドさんは、次のように話します。

「メディケアカードや健康に関する情報、住所や電話番号などを準備していただけると、とても助かります。必要に応じて連絡が取れるようにするためです。」

この「健康情報」には、アレルギーや、服用中の薬、既往症などが含まれます。

そのほか、症状がいつから出ているか、何をきっかけに悪化したか、これまでに試した対処法なども伝えるとスムーズです。

では実際、診察の順番が来た際にはどのような流れで進むのでしょうか。

「看護師や医師、によって診察されます。症状の経緯をさらに詳しく確認し、血液検査やレントゲンなどが必要か、治療にどのように反応しているかなども見ていきます。」と、オメアラ医師は説明します。

また場合によっては、しばらく様子を見ることもあります。

多くの場合、診察後、自宅へ帰ることができますが、場合によっては入院してさらに治療を受けることもあります。

なお、他により緊急性の高い患者がいる場合、診察までに時間がかかることもあります。
Sad mother hugging her young daughter
If your child's case is less urgent than others in the emergency department, you might face a longer wait time.  Source: iStockphoto / chameleonseye/Getty Images
診察が終わって帰宅する際には、お子さんの症状や診断について、保護者はしっかり確認しておくべきだと、オメアラ医師は話します。

どんな病気・ケガが疑われたのか、最終的な診断は何だったのか、帰宅後にどう経過を見ればよいか、再び症状が出たときはどう対応すべきかなど、医師から説明があるはずです。

また、痛みや熱の対処、水分補給の方法など、基本的なケアのアドバイスも受けられます。

さらに、処方された薬や治療について、その効果や副作用、そして今後必要なケアや受診先についても教えてもらえるでしょう。

「こうした説明は、できれば口頭だけでなく、情報をまとめたファクトシートなど書面でもお渡ししています。可能であればご希望の言語でも提供しています。また、かかりつけのGPにも状況を共有できるよう、ディスチャージ・サマリーをメールするか、保護者の方にお渡ししています。」

英語以外の言語を希望する場合は、通訳・翻訳サービス(TIS National)13 14 50に電話をすると、無料で医療機関とのやりとりをサポートしてくれます。

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