オーストラリアの移民家庭によくあるように、ジエ・ヤン・ローさんの両親も、子どもたちを私立校やチューターに通わせるために懸命に働いていました。
「私の通っていた学校の子どもたちの多くは、何らかの形でチューターをつけていました。土曜学校だったり、個別指導だったり。私はその両方をやっていました。両親はとにかく私に先を行ってほしくて、成績を落とさないよう必死でした。」
現在親となったローさんは、7歳の娘ホープリンちゃんのためにチューターを検討していますが、その考え方は自身の親とは少し異なると言います。
「数学を中心に、場合によっては英語のチューターを考えています。学びの幅を広げ、学習への関心を高めるとともに、一対一の安全な学習環境と指導を通じて、自信をつけてもらえたらと思っています。」
チューターをつける理由
「大学進学や特定の職業への道を確実にするために、個別指導を選ぶ人が増えています。学校レベルでは、私立校やセレクティブスクールへの入学のために利用されています。特に移民家庭の間では、そうした学校への入学を目指してチューターを利用する割合が高いのです。」

Tutoring comes in various formats, from in-person to online, and can serve different purposes, including academic improvement and confidence-building. Credit: JohnnyGreig/Getty Images
チューターの種類
チューターには、自宅での指導をはじめ、センターやオンラインでの指導など、さまざまな形式があります。
また一対一で指導を行うこともあれば、グループを教える場合もあり、一般的な宿題のサポートから、集中的な試験対策まで幅広くサービスを提供しています。
しかし、オーストラリアではチューターに関する規制がなく、誰でもなることができます。
成績が優秀でも、良いチューターになれるとは限らないと、ダル氏は警鐘を鳴らしています。
「脆弱な移民コミュニティが選んだチューターが、実際には子どもに自信を失わせ、学習能力を低下させる可能性もあります。その人が子どものニーズを特定する資格を持っていないからです。」
チューターの選び方
他の親からの推奨やアドバイスは、チューター選びの良い参考になります。
ダル氏は、チューターを選ぶ前に、以下の重要な質問をすることを勧めています。
- 資格や経験を教えてください。
- Working with children checkはお持ちですか?
- ABNはお持ちですか?
- 領収書はもらえますか?
- 返金が必要な場合、どのように対応してもらえますか?
- 成果をどのように測りますか?
- どれくらいの期間、レッスンを受けることを勧めますか?
- クラスの人数は何人ですか?
- どの程度個別対応されていますか?
- 指導が子どもに合っていない場合、いつどのようにそれを知らせてくれますか?

Mother helping son during e-learning at home. Credit: MoMo Productions/Getty Images
また、オンラインチューターについては、「エンゲージメント」を確認することを勧めています
- カメラはオンになっているか
- 生徒の様子をしっかり見ているか
- 生徒のリストがあり、それぞれがクラスにどれくらい貢献しているかをチェックしているか
- チャットをチェックしているか
- 進捗状況をどのように確認しているか
- リアルタイムでどのようなフィードバックがもらえるか
チューター選びに、子どもを参加せることはひとつのポイントでもあると、ローさんは説明します。
ブリスベン在住の父親、アレックス・ウォンさんも、重要なのは娘の「反応」と考えており、試しにチューターを一度受けさせて様子を見るということも行っています。
「どのチューターを選ぶかは、結局のところ娘がどう反応するかにかかっています。退屈していないか、じっとしていられるか、注意を払っているか。または興味を持ち、もっとやりたがっているか。そういった反応が選ぶ基準となっています。」

Since tutoring is unregulated in Australia, parents should carefully vet tutors by checking their credentials, experience, and teaching methods. Credit: Westend61/Getty Images/Westend61
無料、または低コストのチューター
チューターの費用は大きく異なり、資格のない人は1時間30ドル程度から、専門の講師は200ドルに達することもあります。
しかし無料の選択肢も存在します。
図書館など多くの施設や団体では、宿題の手伝いや、新しい移民向けのプログラムなどを提供しています。
キャンベラの が提供する ) では、移民の背景を持つ若者に対して、無料で個別指導を行っています。
MARSSのCEO、ソニア・ディ・メッツァ氏によると、プログラムに対する学生の評価はよく、その多くが「成果があった」と感じていると言います。
「自信がついた」「英語力が向上した」「教育システムを理解できるようになった」などというポジティブなコメントが寄せられているそうです。
親の役割
チューターは学校の補完であり、代わりになるべきではありません。
また教育において親は重要な役割を果たすとダル氏は説明します。
「親が最初に問うべき質問は、自分が子どものためにできることは何かということです。一緒に読書をすることができるか?一緒に過ごす時間を持つことができるか?どのように自分自身を強化し、子どもと一緒にいることができるか?」
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