移民コミュニティーの障害を持つ人へのサポートで大きな問題となっているのは、コミュニティー内部でのスティグマと文化的なタブーです。
障害者プログラム「Speak My Language」で全国プログラムマネジャーを務める、ヴァネッサ・パパスタブロス(Vanessa Papastavros)氏は SBS Examines にこう語りました。
「支援があることを知っていても、(障害を持つ人たちが)それを利用する可能性は低いのです。そうすることで自分が恥をかくことになると感じているからです」。
「障害を持つ家族を介護する人の間にもそれは見られます。社会的な集まりや活動に障害を持つ家族を連れ出すことに消極的です。コミュニティーの他のメンバーが障害をどう受け止めるかをとても恐れているからです」。
フィジーからの移民、マーク・トンガさんは、脊髄の損傷で四肢麻痺(テトラプリージア、tetraplegia)になった後、友人やコミュニティーの自分への態度が変わったと語りました。
「私を見るとぎょっとして、どう接してよいのか分からないという感じになります」(トンガさん)。
ですがトンガさんは、自分にとっての壁は障害ではなく、不十分なアクセスビリティだと続けます。
障害を持つ人は世界にいます。ですがここには存在しないのです。Mark Tonga
「中に人がいる建物があって、『そこには障害者は入れない』と言われる。スロープを作ってくれれば私たちだって入れます」(トンガさん)。
障害や慢性的な疾患を抱える移民には別の壁があります。ビザを申請する際の健康要件(Migration Health Requirement)です。
これは、申請者にビザが発給された場合に、医療費など政府が負担することになるコストがどのくらいかを調べるものです。
登録移民エージェントで、健康要件の緩和を求めているジャン・ゴサード博士は、この健康要件は差別的だと主張します。
「障害を持つ人は自分がすでに疎外され、排除されていると感じます」
「さらに障害や慢性的な疾患を持つ人は社会の重荷であるというメッセージを(この要件を通じて)コミュニティーに発信しているのです」(ゴサード博士)。
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SBS Examines: オーストラリア、障害を持つ移民の目にどう映る?
SBS Japanese
26/03/202510:33
SBS Examines の今回のエピソードでは、オーストラリアに来た障害を持つ移民が直面する特有の課題について考察しました。
SBSの日本語放送は火木金の午後1時からSBS3で生放送!
火木土の夜10時からはおやすみ前にSBS1で再放送が聞けます。